【結論】子ども・親族のアルバイト収入が一定額を超えると、フリーランスエンジニアである親の「扶養控除」が使えなくなり、所得税の負担が増えます。なぜなら扶養控除は「扶養親族の合計所得金額」に上限があり、その上限は近年の税制改正で変わったばかりだからです。特に2026年分(令和8年分)の確定申告からは新しいルールが適用されるため、旧来の「103万円の壁」のイメージのままだと判断を誤りかねません。本記事では、個人事業主・フリーランスエンジニアが子どもや親族を扶養に入れる際に押さえるべき「扶養控除」の要件と、話題になりやすい103万円・150万円という数字の正しい関係を整理します。
なお、本記事は子ども・親族の「扶養控除」に絞った内容です。配偶者の年収に関する「配偶者控除」「配偶者特別控除」(いわゆる178万円の壁の議論)とは制度も判定基準も別物なので、混同しないよう注意してください。
- 扶養控除の対象になるのは、生計を一にする16歳以上の親族で、かつ本人の「合計所得金額」に上限がある。
- 「合計所得金額」とは、給与・事業などすべての所得を合算した後の金額のことで、給与収入そのものとは違う。
- 子どものアルバイト収入が給与のみなら、旧基準は「103万円以下」だったが、税制改正で段階的に引き上げられている。
- 19歳〜22歳の子(特定親族)には、収入が増えても控除が急になくならない「特定親族特別控除」という緩和策がある。
- 「103万・150万の壁」は複数の制度が混ざって語られやすいため、自分の子の年齢と収入で当てはめて確認する必要がある。
【結論】フリーランスエンジニアも会社員も扶養控除の判定方法は同じ
まず前提として、扶養控除の仕組み自体は、フリーランスエンジニア(個人事業主)でも会社員でも変わりません。扶養控除とは、生計を一にする一定の親族(配偶者を除く)がいる場合に、納税者本人の所得税・住民税の計算上、一定額を所得から差し引ける制度です。フリーランスの場合は確定申告書の「扶養控除」欄に記入し、会社員の場合は年末調整の「扶養控除等申告書」で申告する、という提出先の違いがあるだけです。
ただしフリーランスエンジニアは自分で確定申告をするため、扶養控除の要件を自分自身で正しく理解し、判断する必要があります。会社員のように会社の経理担当が誤りをチェックしてくれるわけではない点は意識しておきましょう。
【定義】扶養控除の対象となる4つの要件
国税庁の一次情報(後述の出典参照)によると、扶養控除の対象となる扶養親族は、その年の12月31日時点で次の要件をすべて満たす人です。
- 親族要件:配偶者以外の6親等内の血族・3親等内の姻族、または里子・養護委託を受けた高齢者であること。
- 生計要件:納税者本人と生計を一にしていること(同居していなくても仕送りなどで生計を支えていれば該当する場合がある)。
- 所得要件:本人(子ども・親族側)の年間の「合計所得金額」が一定額以下であること。
- 年齢要件:その年の12月31日時点で16歳以上であること。
ここで重要な専門用語が合計所得金額です。合計所得金額とは、給与所得・事業所得・雑所得などをすべて合算し、各種所得控除を差し引く前の所得の合計額を指します。アルバイト収入(給与収入)しかない子どもの場合は、「給与収入から給与所得控除を差し引いた後の金額」が合計所得金額になります。この給与所得控除の存在が、「収入103万円=所得48万円」といった、収入額と所得額のズレを生む原因です。
【注意点】いわゆる「103万円の壁」は扶養親族側の所得要件のこと
子ども・親族の扶養控除に関して語られる「103万円の壁」とは、扶養親族となる子ども側の給与収入の上限を指します。令和6年分までの基準では、扶養親族の合計所得金額の上限は48万円以下で、給与収入のみならこれが103万円以下に相当していました。子どものアルバイト収入が103万円を超えると、親であるフリーランスエンジニアは扶養控除を使えなくなり、所得税・住民税の負担が増える、という構造です。
この基準は令和7年度税制改正により見直され、令和7年分は合計所得金額58万円以下(給与収入123万円以下)に引き上げられました。さらに令和8年分(2026年分)以降は、基礎控除や給与所得控除の見直しに伴い、扶養親族の所得要件も追加で引き上げられる予定です。【要確認】令和8年分以降の正確な合計所得金額の基準額・給与収入換算額は、国税庁が公表する最新の一次情報で必ず確認してください。本記事執筆時点の情報を基にした目安として扱い、実際の申告時には最新の国税庁発表を優先する運用をおすすめします。
【注意点】「150万円の壁」は19〜22歳の子ども向けの緩和策と混同しやすい
もう一つ話題になりやすいのが「150万円の壁」という言い方です。これは主に、19歳以上23歳未満の子ども(税制上は「特定親族」と呼ばれます)を対象にした特定親族特別控除という新しい制度に関連する数字です。
特定親族特別控除は、子どもの合計所得金額が扶養控除の上限を超えても、一定の範囲であれば段階的に控除を受けられる仕組みで、配偶者特別控除の「子ども版」のようなイメージです。満額の控除(63万円)を受けられる所得の上限がおおむね給与収入150万円前後とされ、そこから収入が増えるにつれて控除額が段階的に減っていき、一定額を超えるとゼロになります。【要確認】満額の範囲となる正確な給与収入額、控除がゼロになる上限額は年分によって変わるため、申告する年の国税庁公表資料で必ず確認してください。
つまり「103万円の壁」は扶養控除そのものが使えるかどうかの境目、「150万円の壁」は19〜22歳の子に限った、控除が段階的に減っていく緩和策の目安という、別々の制度の話が同時に語られている状態です。ここを混同すると、「うちの子は22歳だから150万円まで大丈夫」と誤解して、実際には対象年齢や控除額の計算方法が違っていた、というミスにつながります。
| 比較項目 | 扶養控除(一般の扶養親族) | 特定親族特別控除(19〜22歳の子) |
|---|---|---|
| 通称 | いわゆる「103万円の壁」 | いわゆる「150万円の壁」 |
| 対象年齢 | 16歳以上(年齢の上限なし) | 19歳以上23歳未満 |
| 控除の性質 | 要件を満たせば一定額を満額控除 | 所得に応じて控除額が段階的に減少 |
| 収入が増えた場合 | 要件超過で控除が一気にゼロになる | ゆるやかに控除額が減っていく |
| 制度の新旧 | 従来からある基本制度(基準額は改正で変動) | 近年の税制改正で新設された緩和策 |
| 要確認ポイント | 令和8年分以降の合計所得基準額 | 満額となる範囲・控除消滅となる上限額 |
- 子ども・親族の「給与収入額」だけでなく「合計所得金額」に換算して判定する。
- 子どもの年齢(16歳以上か、19〜22歳の特定親族に該当するか)で使える制度が変わる。
- 確定申告時には申告する年分(例:令和8年分なら2027年3月申告分)の基準額を国税庁サイトで再確認する。
- 配偶者に関する「配偶者控除・配偶者特別控除」とは別制度なので、178万円の壁の話とは切り分けて考える。
【結論】確定申告での実務対応と記帳の効率化
フリーランスエンジニア(個人事業主)が扶養控除を適用する場合、確定申告書の該当欄に扶養親族の氏名・続柄・生年月日・合計所得金額の見積もりなどを記入します。子どものアルバイト収入が年の途中で見込みより増えた場合は、年末の時点の実際の合計所得金額で最終判断することになるため、年内のうちに子ども本人の給与明細などで収入を把握しておくと安心です。
扶養控除の判定に加えて、事業所得の集計や各種控除の入力といった確定申告の作業自体も、フリーランスエンジニアにとっては悩みの種になりがちです。こうした手間は会計ソフトを使うことである程度自動化できます。
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また、白色申告・青色申告のどちらを選ぶかによっても、控除や必要な帳簿の内容が変わってきます。まだ申告方法を決めていない個人開発者・フリーランスエンジニアの方は、あわせて基本の申告知識も整理しておくとスムーズです。
FAQ:フリーランスエンジニアの扶養控除でよくある質問
Q1. 子どものアルバイト収入が103万円をわずかに超えた場合、扶養控除は必ず使えなくなりますか?
A. 扶養控除の判定基準そのものが税制改正で見直されているため、必ずしも旧来の103万円という数字で判断できるとは限りません。申告する年分の合計所得金額の基準額を国税庁の最新情報で確認したうえで判断してください。
Q2. 大学生の子ども(19〜22歳)はアルバイト収入がいくらまでなら安心ですか?
A. この年齢層は「特定親族特別控除」という段階的な緩和策の対象になり得ますが、満額控除の範囲・控除が消滅する上限額は年分によって変わります。目安として給与収入150万円前後という数字が語られますが、正確な金額は必ず国税庁の一次情報で確認してください。
Q3. 扶養控除と配偶者控除(178万円の壁)は同じ制度ですか?
A. いいえ、別の制度です。扶養控除は子ども・親などの親族が対象で、配偶者控除・配偶者特別控除は配偶者のみが対象です。判定基準の金額や仕組みも異なるため、混同しないようにしてください。
Q4. フリーランスエンジニアが扶養控除を適用する際、会社員と手続きは違いますか?
A. 適用される制度自体は同じですが、フリーランスは年末調整がないため確定申告書に自分で記入して申告します。会社員のように会社側でのチェックがない分、要件の見落としに注意が必要です。
Q5. 扶養控除の判定に使う「合計所得金額」は、子どものアルバイト収入をそのまま使えばいいですか?
A. いいえ、給与収入から給与所得控除を差し引いた後の金額が合計所得金額になります。収入額と所得額は異なるため、収入だけを見て判断すると誤りにつながります。
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扶養控除は「103万円の壁」という一言だけで語られがちですが、実際には制度の見直しが続いており、子どもの年齢によって当てはまる仕組みも異なります。個人事業主・フリーランスエンジニアとして正確に申告するためには、毎年の国税庁の一次情報を確認しながら、自分の家庭のケースに当てはめて判断する姿勢が欠かせません。本記事を入り口に、申告シーズン前に最新の基準額をチェックする習慣をつけていきましょう。


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